本部 広報部 資機材 研修

令和4年度 救助用資機材技術講習が実施されました。

救助用資機材技術講習

令和4年11月27日、大阪府立消防学校において消防団員に対する救助用資機材技術講習が実施されました。

この講習は、救助用資機材を安全で円滑に利用できる様にする事で、消防団の災害対応能力の向上を図る事を目的としています。
それにより救助用資機材全般に係る座学及び救助用資機材(チェーンソー、エンジンカッター、油圧切断機)の操作技術を習得するための講習が実施されました。

今回、枚方市消防団から訓練担当副団長である吉水副団長及び、厚生労働省所管「チェーンソーによる伐木等の業務に係る特別教育」を修了している広報部員の合わせて2名を派遣しました。

講習は午前中、消防学校の教室で座学による講義が行われ、午後から各訓練棟にわかれて実技講習が行われました。

座学講義

消防学校教室で座学を行う受講生

まず初めに教室において、東京消防庁で救助隊としてご活躍された経験をお持ちである講師の方をお迎えし、自己紹介のあと研修内容の説明、資機材の取扱い要領、資機材の点検・整備及び安全管理についての講義がおこなわれました。

講義は投影用プロジェクターと教本に沿って行われ、午後から実技として取り扱う、チェーンソー、エンジンカッター、油圧切断機のほか、ジャッキ、可搬ウインチ、コンクリート破壊器具、救命ボート、AED等、全部で14資機材の解説がありました。

特に実技講習を行う3資機材に付いては重点的に行われ、一般に使用する時と救助資機材として使用する時の相違点など、詳細な説明を受けました。
その一つにリコイルスターターを使用してエンジンを始動させる資機材については、スターターロープの切断防止のため、スターターロープを少し引き出した状態でエンジンを停止させるなどの説明がありました。

資機材取扱いの講話のあと、安全管理として講師の方が阪神淡路大震災で救助活動に携わった際の体験談をお話しされ、危険が伴う資機材の取扱いには細心の注意と冷静で的確な状況判断が必要であると教えがありました。

なお、講習に使用された教本及び動画は「防災・危機管理e-カレッジ」にも掲載されています。

実技講習

午後からは、約3時間程度の時間を用いて3資機材(チェーンソー、エンジンカッター、油圧切断機)の講義が行われ、3班編成で3種類の講習をローテーションで行う事により、受講生全員が全ての講習を受講できるように配慮されました。

油圧切断機(電動式油圧コンビツール)・手動式破壊器具

油圧切断機の取扱い講習について概要説明を受ける受講生

油圧切断機(電動式油圧コンビツール)は、油圧により先端部分のアームを開閉する事によって「開く」「切る」「つぶす」などの動作が行える資機材です。

使用目的としては、地震発災時における倒壊家屋等の建物からの救助、交通事故等における自動車等の扉を開放することや、鉄パイプ等の切断が想定されます。
今回の講習では、実物の自動車を対象物として使用し、要救助者が車内に取り残されている事を想定して行われました。

まずは3名1組となり指揮者・作業担当者等の役割を決め、救助活動に取りかかります。
油圧切断機のアームを挿入する事が出来るぐらいの隙間を作るため、ロックブレーカークロー等の扉や窓などのこじあけに使用する資機材を用いて作業を行います。

重量のある油圧切断機を作業担当者が協調して操作し、アームの先端部を僅かな隙間へと挿入する

僅かな隙間や扉を少しこじあけたら、指揮者の指示のもと、そこへ油圧切断機のアームを挿入して先端部を開き、対象物の隙間を更に大きく開けていきます。

これは作業を行う者同士の息が合わなければ、的確な位置へ挿入する事が出来ないだけではなく、資機材の落下や体の一部を挟むなどの重大な事故を惹起させる可能性があるため、特に慎重な取り扱いが求められます。

三位一体となり頑丈な扉を破壊していく受講生

扉が完全に開いたら、取り付け部のヒンジを切断し扉を取り外します。
また、この時に取り外すのに支障する内側パネルをアームで挟んで除去を行ったり、車体の一部をつぶす等の油圧切断機の機能を効率よく組み合わせ、迅速に要救助者の保護に努めます。

指揮者、他の作業担当者と連携を取りながら慎重に車体から扉を取り外す吉水副団長
訓練に使用した油圧切断機とは別タイプの油圧切断機も展示

自動車の扉を車体から完全に取り外したあと、破壊作業を一人で行う事ができる手動式破壊器具を用いて、自動車のフロンドガラスに用いられている合わせガラスを破壊する指導を受けます。

合わせガラスであるフロントガラスを手動式破壊器具により効率よく的確に破壊して行く受講生

本来割れ難くく、割れても飛散しにくい事を特性とする特殊ガラスであるため、容易に割る事ができません。
教官から迅速かつ的確に破壊する要点を教わりながら、確実にフロントガラスを割ります。

チェーンソー

教官からチェーンソーの実務的な指導を受ける受講生

チェーンソーの講義では、教材として用いるチェーンソーの製造メーカー違い(今回の講義ではスチール社とハスクバーナ・ゼノア社)による機器配置等の相違点や特性の説明を受けました。
その後、受講生が実際にチェーンソーを手に持って確かめてみます。

一通り、構造やスイッチの配置等の確認を行い、その後服装の整正に努めます。
チェーンソーは、切断時に破片等が飛散する恐れがあるため、活動服の襟を立て、安全帽、防塵メガネ、防塵マスク、手袋、編上げ活動靴、切創防止用保護衣(チャップス)等を着装し、自身の安全に十分配慮します。

なお、令和元年8月1日から伐木作業等の安全対策の規制が改定されたため、チェーンソーを使用する際は「切創防止用保護衣(チャップス)」の着装を心がける様に指導がありました。

訓練を行う準備が整えば、実際にエンジンを始動させます。

スターターロープを引き、エンジンの始動を試みる吉水副団長

この時に座学での復習を兼ねて、切断時に最も注意しなければならない「キックバック現象」に付いて再度指導をうけます。

キックバック現象とは、切断対象物と接触するソーチェーンの位置や方向を誤るとチェーンソー自体が跳ね上がり、動作しているチェーンソーが操作を行っている者と接触し、大きな事故に繋がりかねない恐ろしい現象です。

この現象をよく理解し、キックバック現象による受傷を防ぐため、取扱者の利き手に関係なく、スロットルトリガーは右手で持ち、フロントハンドルは左手で握ります

指定された出力で角材を切断する吉水副団長

受傷事故防止のため、チェーンソーの後方直線上に足を置かない事を念頭に置き、切断する対象物が自分の肩の高さより必ず低い位置にある事を確かめて、切断作業に取り掛かります。

講習に供用されたスチール社製「MS261C-M型」チェーンソー
講習に供用されたハスクバーナ社製「440eII型」チェーンソー

エンジンカッター

教官の説明に聞き入る受講生

エンジンカッターは、エンジンの動力で切断刃を高速回転させることにより、木材・金属・コンクリートなどを切断する資機材で、使用すると火花や鉄粉等の金属粉が飛び散る恐れがあるため、防炎シートの活用を配慮するとともに、活動服の襟を立て、安全帽、防塵メガネ、防塵マスク、革製手袋、編上げ活動靴を着装します。

切断時には火花の飛散が想定されるため、周囲に可燃物や油漏れがないことを確認します。

そして、エンジンを始動する前に、必ず切断刃が確実に締め付けられているかを確認し、万一締め付けが不十分な場合は、ナットが緩み、切断刃が回転しながら脱落し、高速で前方に走り出すなどの大きな事故に繋がる恐れがあるので確実に締め付けを行います。

また、切断刃は、鋼鉄用、コンクリート用、木材用など、対象物の材質に適したものを使用します。

鉄パイプの切断に臨む吉水副団長

作業を始める前に周囲の安全確認を行い、作業範囲内に人がいない事を確認し、切断刃の後方直線上に足を置いていない事を再確認したのち切断作業を行います。

切断作業が終了したら、切断刃が完全に停止したことを確認した上で、保護カバーをします。

今回の講習に供用されたハスクバーナ・パートナー社製「K950型」エンジンカッター

資機材の充実強化に努めます

救助用資機材の導入・充実強化は、市民の安全安心を守る手段が増えるだけではなく、消防団組織全体の災害対応能力の向上にもつながります。

その反面、取り扱いをひとつ間違えれば、生命の存亡にかかわる重大な事故を惹起させる危険性もあり、無事故を期すためには取り扱いを行う者への指導教育体制の確立や技能習熟訓練を安全に行う事が出来る環境の充実が必要不可欠です。

今回、枚方市消防団は訓練業務を司る訓練担当の副団長を派遣しましたが、この救助用資機材技術講習受講の経験を活かし、今後枚方市消防団内での指導教育体制を整え、各種救助用資機材の導入を積極的に図り、必要となる資機材と習熟した取扱者の充実強化に努めてまいります。

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