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大阪広域生コンクリート協同組合との合同訓練
令和6年3月10日(日)、枚方市尊延寺に設けられている枚方市東部資源環境センターに於いて、令和5年度 枚方市消防団山林火災防ぎょ訓練が実施しました。
この山林火災防ぎょ訓練は、枚方市消防団事業計画に基づき、山林火災に迅速かつ的確に対応するため、枚方東消防署のほか、各協力団体との相互協力体制の確立と地域の防災力強化を目的として合同訓練を実施するものであります。
今回特記すべきこととして、山林火災防ぎょ訓練としては初めて民間組織である「大阪広域生コンクリート協同組合」と連携した訓練を実施することであり、令和4年に「災害時における消防用水の確保に関する協定」を締結した大阪広域生コンクリート協同組合所属のミキサー車を使用した消防用水搬送訓練が行われ、大阪広域生コンクリート協同組合との連携強化を目的のひとつとして合同訓練が実施されました。
訓練開始にあたり、開会式では枚方東消防署 中井署長より「大阪広域生コンクリート協同組合と枚方市消防団、枚方寝屋川消防組合の三者が今後も協力をしあい、ますますの強固たる関係性を構築していく事が大事である。」と挨拶がありました。
その後、人員や車両報告のあと訓練想定が告げられ、指揮者の指示のもと各団員は担当の配置につきました。
本年度の訓練想定は、令和6年3月10日の午前10時ごろ、枚方市大字穂谷付近の山林より出火し、火点にあっては南側、北側、西側の3ヵ所として燃焼が拡大しているというもので、20トン水槽の組み立て・消防用水の搬送・揚水・消防ホースの延長・送水・中継・放水等の連携訓練を柱としたものになりました。
訓練開始
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消防団の車両部隊、徒歩部隊は所定の位置で待機し、訓練開始と共に必要な資機材を準備して消火の準備に入ります。
枚方市東部資源循環センター内は標高に高低差があり、実際の山林と同じく勾配を行き来しなければなりません。
重い資機材を人力により移動させるのは、非常に労力のかかる作業ではありますが、団員はもてる能力、マンパワーと強い精神力によって任務を果たしていきます。
まだ寒さも残る3月ですが、団員の口からは「身体中が暑い」という言葉も聞かれ、全身全霊で取り組んでいる事が伺えます。
安全かつ迅速に消火活動を行うのが消防団員としての基本です。
受傷事故等を起こさないように短絡作業を厳に慎み、決まられたルールと手順に基づいて消火活動を行います。
ミキサー車による消防用水の搬送と揚水
山林火災の消火活動において困難をきわめる事として、消火水の確保があります。
今まで実施した山林火災防ぎょ訓練では、天然水利である河川や人工の貯水池、防火水槽を水源として対応訓練を行なって来ましたが、今回は初めて大阪広域生コンクリート協同組合の御協力の元、ミキサー車により消火水の移送を行い、火災現場と想定する箇所の近辺に設置した組み立て式の水槽で受水し、これを水源としました。
20トン水槽の設営
20トン水槽の設営は、枚方寝屋川消防組合の隊員によって手際よく行われていきます。
非常に大きい水槽であり、組み立てに困難を極めるかと思いきや瞬く間に完成しました。
ミキサー車の到着と受水
普段は生コンクリートの輸送に従事するミキサー車ですが、訓練では積み荷を水に変えて消火水を届けてくれます。
今回は7台のミキサー車を使用して頂きました。
続々と現場へ到着するミキサー車、見る者を圧倒させます。
現場へ到着すると、枚方寝屋川消防組合の隊員によってミキサー車の誘導が行われ、的確に20トン水槽へ降水できる位置に止め置かれます。
受水の準備が終わると、隊員の合図と共にミキサー車から20トン水槽へ水が勢いよく放たれます。
揚水と送水準備
20トン水槽に消火水が確保されると、津田分団と菅原分団が20トン水槽横で配置に着き、元ポンプの設営にはいります。
機関の操作を担当する者、ホースを延長させる者、吸管を設置する者、各々の役目を確実・的確の行い、迅速な設営に臨みます。
吸管の設置も隊員より説明等の指導を受けながら、団員の技術力向上を同時に図りながら作業を進めます。
元ポンプの設営が終わると、中継ポンプへ送水する態勢にはいります。
現場指揮者である分団長は、消防団指揮本部へ活動状況を綿密に報告し、消防団指揮本部からの指示を受けるほか、枚方寝屋川消防組合との共用の無線機も使用し、枚方寝屋川消防組合との連携や情報共有も図ります。
ホース延長と送水・中継連携
殿二分団、樟葉分団、氷室分団の機関を担当する団員は、所定の中継位置まで可搬ポンプを搬送し、中継ポンプの操作を行います。
送水圧力等の情報を緊密に無線機で連絡を取り合い、相互に離れた場所であっても連携体制を崩しません。
消防団指揮本部と指示伝達
消防団指揮本部の運営は、副団長が執り行います。
各現場に配置している責任者から、MCA無線により活動状況が報告されます。
その報告を基に今後の活動態勢を検討・考慮し、的確な指示を出します。
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消防団指揮本部の副団長より発せられた指示は、各現場の責任者である分団長にMCA無線で伝達され、更に分団長から各団員へ必要な指示が与えられます。
口頭による指示伝達のほか、特定小電力トランシーバーを用いて指示伝達等の情報共有が図られます。
放水開始と撤収作業
すべての設営準備が完了し、いよいよ放水作業に入ります。
今回の訓練想定では、3方向に火点があるので、消防団の団員、消防組合の隊員、消防組合のブリッツファイヤーにより放水が行われました。
枚方市消防団による南側火点への放水
消防団の放水は2系統からなる2線で行われ、さらに1線2口体形で放水を実施します。
南側火点へ放水を担当するのは、第1線を樟葉分団が第2線を氷室分団が行います。
高低差や長距離ホース延長による圧力損失があるとはいえ、放水圧力は高いものであり、放水担当者は補助者と共にアクシデントがない様、慎重な筒先の操作を行います。
枚方寝屋川消防組合による西側火点への放水
西側西側火点の消火は、消防組合の隊員が当たります。
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実際に存在する山林に近い状態の草木がある場所で立木に向けて放水を行いました。
ブリッツファイヤーによる北側火点への放水
北側火点へは消防組合のブリッツファイヤーを設置して放水にあたります。
ブリッツファイヤーは、山林火災の様な広範囲にわたる火災で十分な性能を発揮し、高性能な消火能力をもつ資機材のひとつです。
異例時の対応
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訓練を実施する中で、想定外のトラブルが発生する事もあります。
今回の訓練では、第1線の消防ホースの1箇所に漏水が認められたため、現場責任者の指示により「漏水止め応急バンド」を使用した応急的な止水処置が行われました。
また、消防ホースの途中に分岐管を設置し、訓練終了時の排水のほか、ホースに加わる過大圧力の調整や緊急時における減圧の対処方について指導も受けました。
撤収開始
想定である火点が鎮火したと判断されると、訓練終了の指示伝達が行われました。
指示を受けた団員は、素早く撤収を開始します。
次の事象が発生しても、すぐに対応する事が出来る様に整備、収納を行います。
訓練概要の記録と公表
枚方市消防団では、訓練の概要等を記録として集約し、後世に情報が残せる様、積極的に情報の収集と保存に努めるほか、ホームページ等により情報の発信に取り組んでおります。
今回の山林火災防ぎょ訓練に於いても、広報部より殿一分団・津田分団・氷室分団所属の3名を専従撮影者として派遣し、静止画や動画による情報の収集に努めました。
収集された情報は、メディアの素材として活用するほか、各種資料等にも使用される予定です。
閉会式
全ての訓練が終了すると閉会式が開始され、枚方寝屋川消防組合枚方東消防署 中井署長、枚方市消防団 上田団長より訓練講評を受けます。
上田団長からは「素晴らしい結果を残す事ができました。大阪広域生コンクリート協同組合、枚方寝屋川消防組合、枚方市消防団とも非常に機能的かつ能力的に活動が行えており、今後とも更なる連携強化確立に明るい状況であると確信しました。三者が三位一体となり更なる発展を望むとこであります。」と講評を述べております。
そして今回多大なる御協力、御尽力を賜りました、大阪広域生コンクリート協同組合を代表して、株式会社サン建材 代表取締役 馬場様より御挨拶を頂戴致しました。
馬場様からはミキサー車を使用した訓練でありましたが大変有意義な訓練であり、今後もこの様な合同訓練を参加する事は大切なことであり、地域の安全安心を守る助力になっていただける旨のお言葉を頂戴いたしました。
訓練講評終了後、訓練終了報告が小北副団長から上田団長へ行われ、令和5年度の山林火災防ぎょ訓練は無事終了しました。
連携体制の確立と充実強化を図るために
枚方市消防団では、今後も山林火災に迅速かつ的確に対応するため、常備消防である枚方寝屋川消防組合や協力関係団体とのさらなる相互協力体制を確立し、消火要員の集結訓練、大阪広域生コンクリート協同組合との連携訓練、中継及び送水の体形の確立ならびに消防技術力の向上を目的として合同訓練を実施し連携強化を図ってまいります。
(注)上田消防団長は、令和6年3月31日をもって任期満了に伴い退団しました。
本文に記載されている各団員の役職名は、訓練実施日現在のものです。