氷室分団 パトロール

甘南備山(かんなびやま)で山林パトロールを実施しました。

若葉が芽吹く春の甘南備山

山林パトロールを実施しました

大阪府と京都府の境に差し掛かる氷室分団の団員

枚方市消防団では、毎年4月と5月を山林パトロール実施月と定め、枚方市東部の林野を多く管轄する津田分団・菅原分団・氷室分団は定期訓練として山間部のパトロールを実施しています。

今回、氷室分団では、令和5年4月16日(日)に甘南備山(かんなびやま)の山林パトロールを実施しました。

過去に林野火災が発生した付近を重点的にパトロール

この甘南備山は、大阪府と京都府の府境に位置する標高221メートルの独立峰であり、山頂には神南備神社や京都府側を一望する事ができる展望台が設けられ、年間を通して四季折々の自然が楽しめ、多くのハイカーの皆さんが訪れて賑わいをみせます。
しかしその反面、過去には火の不始末から林野火災が幾度となく発生しており、ハイカーの皆さんへの山火事に対する注意喚起の声掛けや不具合のある啓蒙標識の整備は、消防団の重要な任務のひとつとなっております。

山間部をパトロールする団員

山間部で火災が発生した場合、消火活動に活用する事が出来る整備された小径には限りがあり、迅速に消火活動を行うには、時に道なき道を進まなければならない事態も考えられます。

そのため山林パトロールを実施する時は、地図で整備されているハイキングコースや小径、消防水利に利用できそうな水源の位置を念頭に置き、有事の際には効率よく消火活動が行える様、水源と地形を考慮した有効な通路との位置関係の把握に努めています。

啓蒙標識を整備

ハイキングコース脇に設けられている啓蒙標識を整備する団員

パトロール中、随所に設けられている「山火事注意」の火災予防看板・標識等に脱落や歪み等の不具合があれば必要に応じて調整等を行い、ハイカーの皆さんの目に付きやすい状態に整備します。

自然水利を利用して可搬ポンプを点検

農業用ため池の自然水利を利用して可搬ポンプの点検を行う団員(地権者の許可を得て使用)

山林パトロールが終了すると甘南備山の麓にある農業用ため池を借用して、自然水利を使用した可搬ポンプの動作点検を行いました。

山林火災が発生した場合、整備された消火栓から取水しての消火活動を行う事が出来ない場合も多く、その際、湖川や沼、農業用ため池などの自然水利に頼らなければなりません。
殆どの自然水利にある水は濁水であり、水質の影響でポンプ稼働中に管鎗や吸管が目詰まりを引き起こし、想定外の不具合が生じる事も考えられます。

自然水利を使用する上での注意点を説明する団員

そのため自然水利の使用経験を有する団員が、「濁水」と「浄水」の違いにおいて、可搬ポンプの取扱い方や操作方の相違点を他の団員へ説明を行い、可搬ポンプの運転中にトラブルが発生した場合でも、迅速・的確に対処が出来る様に指導を行いました。

自然水利の水を使用した資機材の整備

ゴミ等の異物が堆積したノズルのフィルター部

分団詰所に帰所後、自然水利の水を使用した資機材の整備を行います。

まずは、過去の山林火災防御訓練から得た経験をもとに、筒先のノズル内部にあるフィルターに堆積したゴミを除去します。
このまま除去せず放置すると管鎗から消防ホース内で消火水が閉塞し、ホースの破裂や機関の破損を引き起こしかねません。
ゴミを確実に除去したのち、パッキンやフィルターも整備します。

次に可搬ポンプに設けられている「真空ポンプストレーナー」の網目も目詰まりしますので、可搬ポンプから取り外し、分解して水道水で奇麗になるまで洗浄します。
この真空ポンプストレーナーは、消火水の汚れから機関を守るために設けられていますので、汚れたらすぐに洗浄します。

最後は吸管ストレーナーの塵除けカゴも、細かな藻やゴミなどが付着しているので、念入りに洗浄します。

常に最善の状態を

ひとつ山林火災が発生すると、使用する資機材も長時間にわたり過酷な稼働が強いられます。
この様な厳しい条件に耐えるべく常に資機材を最善の状態にし、有事の際には使用中に不具合や破損等を引き起こさず、遺憾なく機能や能力が発揮できる様に保守・点検を行なっております。

-氷室分団, パトロール