大規模災害対応訓練 氷室分団

令和8年度前期 大規模災害対応訓練を実施しました。【連載シリーズ・第6回:団員】

大規模災害対応訓練

特定小電力無線機等を活用して分団指揮所で活動を行う部長

枚方市消防団では、令和8年度の枚方市消防団事業計画に基づき、大規模地震に迅速かつ的確に対応するために令和8年度大規模災害対応訓練(前期)を実施しました。

訓練想定

この大規模災害対応訓練は、令和8年7月12日(日)の午前9時頃、生駒断層帯でマグニチュード7.8の巨大地震が発生し、枚方市全域で最大震度6強を観測したという想定で行われました。

消防車車載のMCA無線機で送受信を行う班長

この想定のもと、枚方市消防団に所属する団員は枚方市消防団活動マニュアルに基づき、非常時における参集方法や情報伝達の主体となる無線通信設備の無線交信訓練を実施し、震災時の出動等の事案に対する活動体制の確立、消防防災能力の向上ならびに強化を図ることを目的として毎年2回行われています。

連載:最前線で奮闘するヒーローたち【団員】

枚方市消防団広報部では、大規模災害対応訓練が実施された際に訓練参加者にスポットを当て、その訓練参加者の担当部署における活動を『最前線で奮闘するヒーローたち』としてルポルタージュを行い、シリーズ連載しています。

第6回目となる今回の訓練では『団員』にスポットを当て、氷室分団尊延寺班 団員 山下高幸さんの活動を密着取材しました。

団員階級の者は、消防団組織に於いて一番人数が多い階級であり、消防団の『』の原動力と言っても過言ではありません。

団員の任務は一言では言い尽くせないほど多種多様にわたりますが、今回の大規模災害対応訓練から、他分団と合流して消火活動を行う想定が新設されましたので、この消火活動に従事した団員の訓練模様を、訓練開始から第2非常警備体制が解除されて訓練が終了するまで、ぜひご覧ください。

巨大地震発生を覚知

大きな揺れを感知する山下団員

農業を営む山下団員は、いつも通り早朝から田畑や自宅周辺の草刈りを行います。
そして午前9時を過ぎた時に、今まで経験した事がない様な大きな揺れを覚知します。

刈払機を完全停止させ安全な場所に置く山下団員

安全のため、今まで使用していた刈払機のエンジンを停止させ、避難に支障が出ない場所に置き、すぐさま自身も倒壊や落下物の危険性のない場所へ移動します。

安全な場所で揺れがおさまるのを待ちます

屋外では広場等の安全な場所に一時避難して身を低く保ち、体を三点支持の状態で揺れがおさまるのを待ちます。

しばらくして地震の揺れがおさまれば、周囲の状況を確認し安全を確かめてから次の行動に移ります。
同居家族の安否を確かめ、住居家屋や目の届く範囲で被害が出ていないかも確かめます。

緊急災害出動

家族や住居等に被害が及んでいない事が分かれば、すぐにインターネットや防災無線、テレビ・ラジオ等で情報の収集を行います。

そして震度5以上の地震が発生した事を認めたら、即座に枚方市消防団活動マニュアルに定める市域で震度5以上を観測したときは、伝達は省略され、自動的に第2非常警備体制(2号参集)により全団員が指定場所に参集の項目に則り、所属する氷室分団尊延寺班の詰所へ急いで赴きます。

ガスの元栓を閉め切ります

自宅を出る際には、ガスの元栓を閉め切ると共に電気配電盤のブレーカーも全て「切」にし、次に起こりうる地震に備えます。

自宅とその周辺状況を確認

所属分団詰所まで徒歩で参集します。
この間に街の中で起きている異常の有無を確認し、異常を認めれば所持するノートに記録します。

木々の状態を確認

また、倒木や倒壊家屋などで人命に重大な危険が迫っている場合に遭遇した際には、その場に於いて機宜の処置を執り、人命の救助を最優先にし最善を尽くします。

近所の重要文化財である神社へ立ち寄ります

耐震補強がされていない寺社仏閣など、人が集まりやすく、安全が確保がされにくい場所において人的被害や物損被害が出ていないか、重点的に確認を行います。

古い建造物が立ち並ぶ氷室地区

山下団員が居住する氷室・尊延寺地区は、昔ながらの古い町並みが色濃く残り、耐震補強工事がされていない木造建造物や高く積まれた石垣が多く存在する場所です。

日頃からその状況を把握し、被害をシミュレーションする事によって震災の被害を軽減させることが出来るものと考えております。

所属する分団詰所に到着

所属する氷室分団尊延寺班詰所に到着した山下団員は、まずは詰所付近の状況を確認し、異常がないことを確認したら詰所内の被害状況を調べます。

消防車と備品棚の異常の有無を確認し、先着していた班長へ今まで確認した状況を報告します。
山下団員より報告を受けた班長は、氷室分団指揮所へ所持する特定小電力無線機でその状況を追報します。

その頃、津田分団管内では…

一般建物火災の第1出動で火災現場に到着した津田分団小隊

今回の大規模災害対応訓練より、消火活動訓練が新たに加えられました。
東部方面本部管内における訓練想定は、津田分団管内で一般建物火災が発生し、消火活動にあたるというものです。

火の勢いが収まらない状況を津田分団指揮所へ無線連絡する津田分団の班長

一般建物火災の第1出動として火災出動した津田分団の小隊は、火災現場の家屋に見立てた枚方寝屋川消防組合の枚方東消防署内にある主訓練棟に向けて放水を開始します。

しかしながら、火の勢いは増し、津田分団の小隊だけでは消火能力に限界があるという想定が設定され、その想定に基づき現場指揮者である津田分団津田班の班長は、津田分団指揮所に状況を報告します。

班長より状況報告を受け東部方面本部に応援要請を行う津田分団指揮所

津田班班長から無線報告を受けた津田分団指揮所の竹内分団長は、状況を即座に理解すると共に東部方面本部へ応援要請を行います。

東部方面本部からの出動指令

刻々と管内の被災状況が書き込まれる東部方面本部のホワイトボード

東部方面本部の情報を記載するホワイトボードには、管轄する5分団の情報が輻輳しており、状況が刻々と変貌していきます。
その様な中で、効率的に活動が行える様に消防団員や消防車両の運用を検討していきます。

ホワイトボードを凝視しながら菅原分団と氷室分団に応援の出動要請を発する奥田副団長

今回の一般建物火災の応援要請に対しては、菅原分団と氷室分団から1台ずつの消防車と団員の派遣を決定し、菅原分団指揮所と氷室分団指揮所へ出動指令を発令します。

火災出動

氷室分団指揮所から火災出動の指令を受け消防車に乗り込む団員

山下団員と班長が、詰所や消防車に異常がない事を確かめた直後に、氷室分団指揮所の辻中分団長から、津田分団管内の一般建物火災に向けて出動の指令を受けます。

同時に詰所へ参集した後輩団員と合流し、3名で火災現場へ急行します。

火災現場に向けて出動する氷室分団所属の消防車

火災現場に到着するまでの間、車内では情報の収集が行われ、筒先担当者、筒先補助者、機関担当者などの役割分担が決められます。

今回は経験や熟知度から山下団員は、可搬ポンプ操作担当の機関員を務めることとなりました。

火災現場に到着

一般建物火災の家屋に見立てられた枚方東消防署の主訓練棟

枚方寝屋川消防組合 枚方東消防署に到着すると、すぐさま教官より地下式消火栓より消火水を確保する様に命じられます。

氷室分団の3名の団員は、手慣れた動作で消防車より必要な資機材を準備し、使用する事ができる状態にします。

水利を確保すれば、次に消防用ホースを延長させ放水の準備に入ります。

続いて菅原分団の小隊も到着します

この間に菅原分団の小隊も到着し、消火活動の準備に取り掛かります。

消火活動を開始

氷室分団と菅原分団の小隊が消火活動を務めます(音が出ます)

氷室分団の小隊は、班長が筒先補助者、後輩団員が筒先担当として消火活動を開始し、山下団員は可搬ポンプの操作を行う機関員及びMCA無線担当者として消防車に残ります。

機関員として可搬ポンプの操作を担当する山下団員

機関員は消火状況を見定めて、きめ細かな送水圧力を調整する重要な任務です。
長年の経験と技術力が適切な送水圧力を確保し、迅速な消火と消防団員の安全確保につながります。

鎮圧を氷室分団指揮所へ追報

MCA無線で氷室分団指揮所へ追報する山下団員

訓練の指導にあたる枚方東消防署の教官から『鎮圧』が示されると、山下団員は停水操作を行うと共に、消防車に搭載されているMCA無線機を使用して氷室分団指揮所の辻中分団長へ鎮圧の一報を入れます。

山下団員からの追報を受け、東部方面本部へ報告を行う氷室分団 辻中分団長

氷室分団指揮所で鎮圧の一報を受け取った辻中分団長は、記録用紙に記載後、迅速に東部方面本部の小北副団長に向けて、鎮圧の報告を行います。

辻中分団長からの報告を受け、記録担当の方面本部員へ指示を出す小北副団長

東部方面本部で氷室分団指揮所からの報告を受け取った小北副団長は、記録担当の方面本部員に伝達し、すぐさま状況が記載されているホワイトボードに反映させます。

情報を記載するホワイトボードに事象の記録を追記する方面本部員

この見事な報告の連携は、日頃からの訓練の成果というべき所でもありますが、山下団員と辻中分団長、小北副団長は地元枚方市立津田中学校の同級生であり、長年の級友でもあります。
長い間に築かれた信頼関係と友情が、消防団員としての絆を更に強固たるものにしていきます。

訓練講評

教官より訓練講評を受ける団員

消火活動訓練が終了すると、枚方東消防署の教官より訓練講評が行われます。

今回は、特に小隊の責任者を班長とし、他の分団との連携による訓練内容となったため、現場における班長の意思表示や指示伝達など指揮系統の重要性について講評がありました。

訓練講評を真摯に受け取る山下団員

反省すべき点や新たに学んだことを頭に叩き込み、後日他の団員と情報の共有が行える様に努めました。

撤収作業と帰所

他の団員と協力して資機材を消防車に収納する山下団員

訓練の講評が終わると撤収の指示が出され、各分団毎に使用した資機材を収容し、次の災害に向けて整備を行います。

今回はそのまま所属分団詰所に帰所する様に指示があったので、その指示に従い枚方東消防署をあとにしました。

所属分団詰所に帰所し降車の準備をする山下団員

所属分団詰所に帰所し、運行日誌に必要事項を記載したところで、今回の大規模災害対応訓練の終了がMCA無線により伝えられ、無事に訓練終了となりました。

氷室分団 山下高幸さん

氷室分団 尊延寺班 山下高幸さん

今回、当取材に御協力を頂いた山下高幸さんは、平成9年4月に枚方市消防団に入団し、氷室分団尊延寺班に配属され今日までの間に警備部長や予防部長、副分団長の要職を歴任され、氷室分団の要となる存在として地域の安全と安心を守り、消防団組織の中枢を担って来られました。

そして、これら長年の功績が称えられ、令和8年1月に開催された消防合同出初式に於いては、各分団から選抜された精鋭団員で構成される「整列部隊」を務められると共に枚方市長表彰の授与を受けられました。

令和8年の合同消防出初式で整列部隊を務める山下さん(右から2人目)

プライベートにおいては、大阪府下の市町村職員として長年お勤めになられたのち、令和8年に定年退職され、現在は家業でもある「お米の水稲栽培」に尽力されています。

山下さんは、市町村職員時代の業務上のお付き合いを通じて、現在においても氷室分団員はもとより氷室分団以外の枚方市消防団員との交流も多く、また近隣他市の消防団関係者とも深い親交があり、その温厚な人柄と人望の深さが窺えます。

定年退団まであと数年を残すのみとなりましたが、最後の最後まで枚方市消防団の消防団員として誇りをもち、地域の安全と安心を守っていける様に努めていきたいと抱負を語りました。

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