
野外活動センターで開会式を挙行

令和8年3月8日(日)、枚方市大字穂谷にある枚方市野外活動センターと同センターへ通ずる林道および一級河川・穂谷川において、令和7年度 枚方市消防団 林野火災防ぎょ訓練が枚方寝屋川消防組合 枚方東消防署と大阪広域生コンクリート協同組合と合同により実施しました。
この林野火災防ぎょ訓練は、頻発する林野火災、広範囲に延焼拡大する林野火災対応のため、地域の安全確保のために大きな役割を果たしている枚方寝屋川消防組合とのさらなる相互協力体制の確立および大阪広域生コンクリート協同組合との連携強化を目的として合同訓練を実施するものです。
本年度にあっては、特に各分団と分団を管轄とする枚方寝屋川消防組合各出張所がペアで活動を行うことで、より可視化された信頼・協力関係を構築し、現場活動時の相互協力関係強化に繋がる様に重点をおきました。

林野火災防ぎょ訓練は、空気が乾燥し林野火災が発生しやすい春季に毎年実施しておりますが、この枚方市野外活動センターをお借りしての実施は平成30年4月以来の約8年ぶりとなり、前回開催時の結果と得られた情報、反省点等を考慮し、大きな改善と充実強化が図られ、より実践的な訓練内容が設定されました。

訓練開始にあたり開会式では、枚方寝屋川消防組合 枚方東消防署の清水署長より、林野火災への対応能力の重要性と各組織との連携強化の必要性について講話がありました。

今回の訓練想定は、令和8年3月8日の午前9時ごろ、野外活動センター内ステラホール付近の雑木林より出火し、その後飛び火によりステラホール西側150メートル付近の雑木林にも延焼し、野外活動センター林野内の2ヵ所から火の手があがっている状況というもので、出動指令を受けた東部方面に所属する氷室分団・津田分団・菅原分団・殿二分団・樟葉分団と枚方東消防署が、これ以上の被害の拡大を防ぐため、協力して火点制圧に向うというものです。
指揮所の開設と担当別出動隊の活動


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訓練開始後すぐに野外活動センターのグラウンドに指揮所が開設され、状況の把握と消火活動に指示が出されます。

各分団は決められた担当の任務に沿って活動を開始し、分団と連携を執る枚方寝屋川消防組合の小隊と打ち合わせを密にし、体勢を樹立していきます。
訓練一斉開始

訓練開始の宣言が出されると、氷室分団・津田分団・菅原分団の団員は、野外活動センターから麓に流れる穂谷川方面へ向かって移動を開始します。
標高約300メートルにある野外活動センターから穂谷川までは、急な坂道を下らなけばなりません。
重量のある可搬ポンプや消防用ホースなどの資機材を慎重に運びます。

急勾配かつ隘路(あいろ)なうえ、枯れ葉で足元が滑りやすくなっており、団員は注意を払いながら慎重に運搬を行います。

穂谷川から野外活動センターのグランドまで、約30本の消防用ホースが使用されました。
穂谷川からの取水訓練

今回の訓練での消火用補給水槽への消火水の供給は、ミキサー車の運搬によるものと穂谷川から取水し送水を行う天然水利を利用すの方法が取られました。
この穂谷川からの取水作業を津田分団が担います。


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津田分団員のうち穂谷川に入り作業を行う団員は、長靴や防水足カバーを素早く装着し、土のう袋やショベルなどの資機材をもって作業に取り掛かります。

水位が下がっている時季とはいえ、水の力は凄まじく、油断をすれば足がすくわれる事になりかねません。
その場で土のう袋に砂を入れる作業を迅速かつ慎重に行い、出来上がった土のう袋とシートにより水流を止めて、水を溜めていきます。



水面から約4メートルの高さに取水用の可搬ポンプを設置し、その高さから吸管をおろします。

作業が終わるとすぐさま可搬ポンプを起動させ、揚水の準備にはいります。
無線により揚水開始の指示があると、機関員は圧力計と水面や吸管を監視する団員の合図を注視し、慎重に操作を行います。
中継送水訓練

穂谷川から揚水された川の水は、遥か先にある野外活動センターグランドに設置された消火用補給水槽に向けて送水されます。


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しかし、距離も標高差もあるので、穂谷川に設置した取水用の可搬ポンプだけでは送水圧力の損失と出力不足により大量の水を送ることが出来ません。
そこで2番ポンプとして中継送水用の可搬ポンプを中間地点付近に設置し、効率よく送水を行います。

高低差と距離による圧力損失が大きい状況での機関操作の圧力調整は技術力が求められます。
通常の操作では、吐出の圧力計だけを確認して圧力を調整しますが、今回は2番ポンプであるため、連成計の圧力を確認しながら微調整を行い、不測のトラブルを回避する様に努めます。
大型消火用補給水槽の設置訓練

前回の訓練では、消火用補給水槽を使用せず、穂谷川から揚水した消火水を直接火点に向けて放水を行いましたが、今回は過去の林野火災防ぎょ訓練で使用実績のある組み立て式の大型消火用補給水槽を使用しました。




.この大型消火用補給水槽は、約2万リットル、重量にして20トンの水を貯えることが可能であり、今回は穂谷川からの給水とミキサー車からの給水が行われ、2系統の給水方法により、その機能を発揮しました。
ミキサー車による消火水の運搬

大阪広域生コンクリート協同組合に所属するミキサー車が、麓より消火水を搬送し、消火用補給水槽へ給水を行います。
これは大規模な林野火災が発生すれば、水源に乏し山林に於いて消火用水の確保は最重要課題と位置付けられる事ではありますが、常設の消防機関の大型水槽車だけでは、運搬能力にも限界があり、この不足分をおぎなうため、通常は生コンクリートの運搬に従事しているミキサー車に応援を求め、消火水の確保を確実とするものです。

大阪広域生コンクリート協同組合には数多くのミキサー車が所属しており、数台のミキサー車が順番に大量の消火水を供給します。

大阪広域生コンクリート協同組合は民間企業でありながら、地域を守るために惜しみなく御尽力を頂ける事に感謝しかありません。
天然水利の河川から給水

2番ポンプの後押しにより送水されてきた穂谷川の消防用水は、消火用補給水槽へ届けられます。

ミキサー車に比べて一度に多くの水は供給できませんが、長時間連続して供給する事ができるのが大きな利点と言えます。

消火用補給水槽へ一度溜められた消火水は、更に山林の奥に向って送られていきます。
火点への放水訓練

山林部の2ヵ所から出火しているため、消火隊はふたてに分かれて消火活動を行います。
ステラホール方面を樟葉分団が、通称・アンテナ山方面を殿二分団が消火の任務にあたります。
ステラホール方面の火点消火


樟葉分団が担当する1線は、館内施設「ステラホール」付近の火点に向けて放水の準備を行います。
大型消火用補給水槽から約14本の消防ホースを延長するため、2番ポンプの機関を据え付けます。

火点が確認できる位置で、分岐管を用いて2線に分岐させ、1線2口の放水隊を編成します。

合図と共に一斉に火点に向けて放水が開始されます。

放水するにつれ、消火水の圧力が安定しにくくなってきます。
親ポンプと2番ポンプの機関員と無線で連絡を取り合い、安定した放水が出来る様に機関の操作を行います。

鎮圧の判断と停水の指示があるまで、放水は続けられます。
分団指揮者の指揮・判断等もこの林野火災防ぎょ訓練における重要な訓練項目になります。
アンテナ山方面の火点消火

殿二分団が担当する1線は、アンテナ山付近の火点に向けて放水の準備を行います。

アンテナ山付近の火点は、放水位置より奥まった場所にあるため、こちらは1線1口で消火します。
2番ポンプを火点に近いところに設置したこともあり、放水の圧力は強く、放水隊は4名で消火にあたります。
今回、消防用ホース結合金具と管槍(かんそう)の間に圧力計を取り付けた管路媒介金具を結合し、放水時の圧力計の指示値を読み取り、水圧の確認も行いました。

長い時間の放水に対応するため、放水を担当する団員は、効率よくローテーションを行い、実践的な消火活動訓練を行ないました。

今回、消防用ホースが破断するなどの不測の事態が発生した想定で、2番ポンプの緊急送水停止手配と機関に於いて水圧を逃がす分岐管の操作が行われました。
関係者の視閲


今回の訓練には、枚方市 小山副市長をはじめ、訓練開催地である氷室地区の関係者の方が、訓練の視察と地元広報紙の取材に訪れられました。
撤収作業

完全に消火が完了したと判断されると指揮者の指示で、訓練終了と部隊撤収の指示が下されます。
指示を受けた団員は、限られた時間内で素早く効率的に撤収作業に取り掛かります。

消防用ホースは、高低差による勾配により下にいくほど水圧が高くなっており、危険の伴うため取り扱いには注意を要します。
排水時には、消防用ホースを敷設する際に要所要所に設けておいた分岐管を操作して、消防用ホースに加わった水の圧力を減圧させます。

消防用ホース内に残った消火水を排水したあとは、すぐに巻き上げて所属する消防車まで運びます。

消火用補給水槽も消防職員・消防団員が一致協力して解体作業を行います。

約90キロの重さがある可搬ポンプを細く狭い急な坂道をローテーションしながら消防車まで運びます。
忍耐力が求められるところでありますが、消防団員として地域の山林を守るというプライドが人の底力を見せつけます。
閉会式

撤収作業が完了すると訓練に参加した消防団員・消防職員・関係者は、開会式時の隊形に集合します。
そして消防団から林野火災防ぎょ訓練責任者である小北副団長より中消防団長に向けて訓練終了報告が行われました。

訓練終了報告のあとは、中団長より「今回訓練で使用させて頂いたえびこ道は、徳川家康最大の危機とされる天正10年6月2日に徳川家康が伊賀越えの時に通った道であると歴史的にも由緒ある小径でもあり、地域にとってもひとつの財産でもあります。
豊かな自然を守ると共に歴史的価値を有する財産を守ることも消防団にとって重要な任務あります。
全国各地で起こっている大規模火災や岩手県大船渡市の林野火災の様に42日間に渡って燃え続けた事と同様に、過去に於いてこの津田山でも数日間燃え続けた山火事もありました。
また次にいつ山林火災が起きるか分からない中で、常に心構えを持つ事と日々の訓練を積み重ねる事は非常に重要な事であります。
今後も今回の訓練で得た知識と技術をもって任務にあたって頂きたい。」と訓練講評がありました。


大阪広域生コンクリート協同組合の馬場様より御挨拶を頂戴し、公的機関以外の組織や関係する皆様方から地域防災と災害対応にお力添えを頂ける事に対し、消防関係者一同、心強さと感謝の念で一杯となりました。


最後に林野火災防ぎょ訓練責任者であり担当副団長である小北副団長より、今回林野火災防ぎょ訓練に参加した団員に向けて訓練の講評と感謝の言葉がおくられ、令和7年度の林野火災防ぎょ訓練は無事に終了となりました。
自然豊かな枚方市東部の山林と林野火災注意報・警報

今回の林野火災防ぎょ訓練は、枚方市内で常時有人による管理が行われている山林区域では一番標高のある場所で行われました。
そのため足場も比較的に整備されたいた場所も多く、安全に訓練を行なう環境としては良好ではありましたが、実際に山林で火災が発生すると道なき道をかき分けて、整備がされていない自然環境のもとで消火活動にあたらなければなりません。
常日頃から山林内の道や地形、水源地等をよく把握し、万一の時に備えて枚方市消防団は組織一丸となって対応訓練に取り組み、枚方寝屋川消防組合ならびに大阪広域生コンクリート協同組合の皆さま方と共に貴重な財産でもある枚方の山々を守ってまいります。


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市民の皆さまやハイキングに訪れられる方は、火の取扱いには十分に気を付けて頂き、緑豊かな大自然が火災で失われることがない様にお願いします。



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枚方市東部地区の皆さま、山林野を失火から守るべく令和8年1月1日より予防規則が施行されました。
こちらの施行内容をご理解のうえ、山林や周辺地域での火の取扱いには細心の注意を払って頂き、林野火災防止にご協力をお願いします。
●林野火災注意報・警報についての詳細はこちらをご覧下さい。
