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非常時参集訓練
枚方市消防団では、令和6年度の枚方市消防団事業計画に基づき、大規模地震に迅速かつ的確に対応するために令和6年度前期非常時参集訓練を実施しました。
訓練想定
この非常時参集訓練は、令和6年6月9日(日)の午前9時頃、生駒断層帯でマグネチュード7.3の地震が発生し、枚方市全域で最大震度6強を観測したという想定で実施しました。
この想定のもと、枚方市消防団に所属する団員は枚方市消防団活動マニュアルに基づき、非常の際における参集方や無線通信設備による情報伝達で、初動体制の確立、消防防火能力の向上ならびに強化を図ることを目的として毎年2回実施されている訓練です。
連載:最前線で奮闘するヒーローたち【消防団長】
枚方市消防団広報部では、毎回非常時参集訓練が実施された際に訓練参加者にスポットを当て、その訓練参加者の担当部署における活動を『最前線で奮闘するヒーローたち』としてルポルタージュを行い、シリーズ連載しています。
第3回となる今回の訓練では『消防団長』にスポットを当て、本部 団長 中作平さんの活動に密着取材をしました。
中団長は、枚方市消防団の最高責任者として全ての消防団業務に携わり、当訓練においては団非常警備本部に参集し、団非常警備本部のほか、中部方面本部と東部方面本部、必要に応じて分団指揮所や班詰所・車庫等の指揮・監督も行い、非常時参集訓練の全体の指揮や監修を行います。
訓練開始前の準備から第2非常警備体制が解除され訓練が終了し最終業務を行うまでの団長業務をご覧ください。
地震発生前から枚方市役所到着まで
非常時参集訓練の参加する団員は、通常想定にある午前9時に地震発生を覚知して活動に入りますが、中団長は総指揮者であるため運営の準備の任務もあり、午前8時過ぎには自宅を出て枚方市消防団非常警備本部が置かれる枚方市役所まで向かいます。
参集を行う際、一般の団員と同様、参集方法の基本ルールに基づき、自転車で参集します。
参集途上で交通事故を惹起させない様、細心の注意を払い道路交通法を順守します。
枚方市消防団非常警備本部の開設準備
枚方市役所に到着すると、団非常警備本部担当の副団長ならびに女性分団所属の団員と合流し、団非常警備本部の開設に向けて準備を行います。
朝9時になると、時報と共に枚方市役所危機管理部に設けられている無線室より危機管理部の職員によって、枚方市消防団全無線局に対し訓練開始の通告が行われます。
その後、引き続き正副団長ならびに分団長全員に対して通話試験を行い、対象となる無線局は受信確認を行い、その状況を報告します。
中団長も自らMCA無線により無線各局へ通告を行うと共に指揮・命令を発令します。
各方面本部からの報告を集約
団非常警備本部へは原則、中部方面本部と東部方面本部からの報告が寄せられ、その報告を基に状況を判断して対処法を検討します。
中団長は、中部方面本部を担当する石村副団長の傍らで監修を行います。
団非常警備本部は、中部方面本部と東部方面本部を担当する2部署を分けて運営を行います。
各担当の活動拠点も少し離れた場所に設置し、業務運営の効率化ならびの機能の独立化を図ります。
参集指定場所の視閲
団非常警備本部での運営状況を一通り見定めた中団長は、次に中部方面本部と枚方分団指揮所が開設されている枚方寝屋川消防組合の枚方消防署へ徒歩で視閲に向かいます。
枚方分団指揮所
まずは、枚方消防署の2階に開設された枚方分団指揮所に立ち寄り、運営状況を確認します。
枚方分団幹部の手際よい事務処理と無線機を用いた的確な指示を出す姿に、中団長は何度も頷きます。
枚方分団 南分団長から枚方分団の活動状況と現時点における被害状況の説明を受け、今後の活動への見通しや運営上の問題点などの説明を受けます。
中部方面本部
枚方消防署の3階に開設された中部方面本部に到着し、運営状況を視閲します。
中部方面本部は、一級河川の淀川に近い5分団(枚方分団・蹉跎分団・川越分団・山田分団・殿一分団)を管轄しており、水が関係する災害対応の報告が多く寄せられるのも特徴の一つです。
中団長は、中部方面本部を担当する団員へ直接労いの言葉を掛けると共に、状況の説明や運営上の問題点などを様々な角度から意見を聞き、耳を傾けます。
中団長にも時折業務の連絡が入り、MCA無線機や携帯電話等を用いてその場から業務を遂行します。
枚方分団器具倉庫
枚方分団指揮所と中部方面本部を視閲した中団長は、次に枚方分団の器具倉庫へ向かいます。
枚方分団の器具倉庫は、枚方消防署から歩いて数分の場所にあり、ここでは班長以下数名の団員が訓練に臨んでおります。
中団長は到着後、訓練に参加している団員に激励と訓練の重要性を話し
「今から約150年前の明治18年の今日と同じ6月に、伊加賀切れと呼ばれる大規模な淀川の決壊が発生し、尊い命と財産が失われた。
今日に於いても異常気象が頻発し、いつ何時同じような事が起きるかもしれない。
団員各々に置かれても、まずは自分の身と家族を守る事を徹底したうえで、消防団活動に従事してもらい災害の拡大防止に努めて頂きたい。」と述べました。
団非常警備本部・東部方面本部担当
枚方分団器具倉庫から団非常警備本部へ戻った中団長は、東部方面本部担当へ向かい、災害発生から現時点までの状況の報告と説明を受けます。
更に枚方市役所危機管理部の職員からも業務報告や承認が求められます。
次から次へとやって来る業務処理に息をつく暇もありません。
そして訓練終盤に近付くと、中部方面本部担当と東部方面本部担当、そして危機管理部が合流し、中団長を交えたところで、一体化に向けた最後の業務に入ります。
訓練の成果がひとつの形になったところで、本日の非常時参集訓練は終了となります。
訓練講評
非常時参集訓練が終了すると、最後に団非常警備本部で活動した団員へ訓練評価を行います。
中団長は「治に居て乱を忘れず」という中国の哲学者・孔子の言葉を用いて「今、枚方市は大きな災害があるわけでもなく、普段通りの日常生活を送っているが、いつ何時大規模な災害が起きるかもしれない。
この事をよく肝に銘じて災害に対する心構えと準備を怠る事のない様に努めて下さい。」と述べました。
そして、非常警備本部長の石村副団長より、わかれの号令を受け、副団長と女性分団員は解散となりました。
訓練成果の確認
中団長は訓練終了後も、今回の訓練の結果概要を把握すると共に危機管理部からの報告も合わせて受け、訓練成果を冷静に分析し今後の消防団運営に反映できる様に努めます。
この非常時参集訓練は、団員から消防団長に至るまで、全ての団員ひとりひとりに重要な任務が課せられ、ひとつの部署が欠ける様な事があっては訓練は成立せず、強いては実際に大災害が起きた時に完全な機能が生かされないものであります。
その様な事態にならぬ様、枚方市消防団は常に訓練精度の向上に努め、消防団員ひとりひとりが一致団結して一枚岩となり、枚方市の防災に於ける礎となってまいります。
本部 中 作平さん
中作平(なか さくへい)消防団長は、令和6年4月1日付で第10代枚方市消防団長に就任しました。
中団長は、川越分団 山之上班出身で団員歴35年目を迎え、副団長として12年の任務に就き、それ以前は川越分団長のほか庶務部長などの要職も歴任しました。
現在も消防団長として任務に就くほか、枚方寝屋川消防組合防火委員、枚方市防火協会の顧問等を務めるなど、枚方市における防災の最前線で活動をしております。
以前、当ホームページにおいて「消防団員紹介ー輝く団員ー」コーナーで紹介しておりますので、合わせてご覧ください。