女性分団 研修

消防大学校 消防団活性化推進コースへ幹部団員を派遣しました。

消防大学校 消防団活性化推進コースを受講された皆さんと教官の皆さん(前列左から2人目が杉本分団長)

消防大学校
消防団活性化推進コース

令和4年1月18日㈫から1月20日㈭までの3日間で開催された「消防大学校 消防団活性化推進コース(第10回)」へ、大阪府枚方市消防団より女性分団 杉本分団長を派遣しました。

この消防大学校は、国の機関として東京都調布市に拠点を構え、消防関係者に対し幹部としての高度な教育訓練を行う研修機関です。
消防団活性化推進コースは今回で10回目を迎え、過去の9回に於いては常備消防組織の関係者や行政機関の職員のみを対象に行われておりましたが、今回は初めて消防団員を対象としたうえで、消防団員の中でも中堅幹部に該当する者を選出し、研修が実施されました。

今回の研修に参加した消防団員は、北は福島県から南は熊本県に至る1府5県の11名で、杉本分団長は唯一の女性参加者となりました。

《1日目》部下を元気にするリーダーシップとペップトーク

指導者の役割を各々の経験をもとに討論する教官と受講生

研修初日となる18日は、開講式が行われた後に教室での講義が行われ、テーマを「部下を元気にするリーダーシップ」として、人材育成・コミュニケーションの専門家である 桑野麻衣氏を講師にお迎えし、チームの状態を高めることができる指導者の役割についての講義が行われ、テーマをもとに受講生同士で討論を行いました。

次の講義では、テーマを「ペップトーク」として、トレーナーズスクエア株式会社 代表取締役 岩崎由純氏を講師にお迎えし、指導者としての役割についての講義が行われました。

ペップトークとは、『言葉掛けを変えるだけで、部下のモチベーションを引き出し、結果を良き方向へ向ける事ができる』こととして、消防団においては、災害が全国的に増える中、若手の消防団離れや新たな消防団員確保が極めて厳しい現状で、消防団幹部団員が現在在籍する消防団員の価値観の違いを認識、理解することで信頼される幹部となり、幹部団員の統括力により団結力が生まれ、消防団が活性化し、新たな人材が集まることを目的としており、講義を受講した杉本分団長より、このペップトークの意識を持って今後の分団運営や新たな団員確保に繋げていきたいとの説明がありました。

《2日目》消防団と地域防災・実火災体験型訓練

消防団と地域防災

実際に街の中を歩き、地域防災の特異性について考える受講生
ハザードマップを参考にしながら、現場検証を行う受講生

研修2日目となる1月19日の講義は、「消防団と地域防災」として、実際に校外に出て街の中を歩き、防災上に危険な箇所や防災資源を有する場所、避難場所等を確認し、受講生が地域自治体等での目線により、実際に受講生が居住する地域に当てはめた上で、どのような問題等があるか検証が行われました。

その後、消防大学校へ戻り、現場検証で得た情報を防災マップに整理し、その防災マップをもとに「DIG(ディグ)・災害図上訓練」の指導を受け、ハザードマップの活用法等について学びました。

DIG(ディグ)とは?

DIG(ディグ)災害図上訓練のDIGとは、『Disaster(災害)・Imagination(想像力)・Game(ゲーム)』の頭文字を組み合わせたものです。

今回は、まず「面と時間」について、机上での検討・検証を行いました。

DIG(ディグ)災害図上訓練にのぞむ受講生

ハザードマップは各戸への配布が終われば、それで『終了』ではありません。
消防団として、地域住民の皆さんに災害への備えと防災意識の向上を啓発するため、消防団と地域の自主防災組織が綿密に連携を行い、防災における「共助力」が向上する様に、防災と減災の方法をお伝えして行く事が重要な役割です。

実火災体験型訓練

消防大学校の教官から、実火災体験型訓練の概要説明を受ける受講生

この日の最終プログラムは、消防大学校教官を講師として、屋外に設けられている実火災体験型訓練設備を用いて、実際に火災が起きた事を想定したシミュレーション訓練が行われました。

訓練の想定として、パレットを燃焼させ高温にしたコンテナ内に消防隊員が進入するもので、訓練では火災の性状変化、火災現場と同様の熱・煙、そして注水による熱気環境の変化を体験する事が出来ます。
この訓練を体験する事によって、火災性性状等に関する知識の習得のほか、火災現場と同様の熱や濃煙を体験し、注水の知識や技術力の向上を目的としています。

実火災体験型訓練設備で実設訓練を受ける受講生

《3日目》消防団と常備消防組織との連携訓練

指揮シミュレーション訓練として、机上で指導を受ける受講生

研修最終日となる1月20日は、消防大学校 御調助教授を講師として、消防団と常設されている消防署との連携を訓練内容とした「指揮シミュレーション訓練」が行われました。

この訓練では、各々が担う役割を3パートに分けてシミュレーションを行い、役割を輪番とし体験することで相手の役割を理解したうえで行動する事を目的としています。
また、この訓練において受講生は、冷静に状況把握して対応すること、発災時における混乱を最小限に抑える事も可能であると学びました。

無線通信設備等の資機材も活用し、常備消防との連携を行う受講生

3日間の研修を終えて

大災害が起きた時、すぐ近くには誰がいますか?
避難所の運営は、誰が行うのでしょうか?

それは消防団員や消防署員ではありません。
ご家族、ご近所の方、自治体の方々、地域の皆さんです。

災害時には、自助と共助が大切です。

消防団員は、平常時においては地域住民の1人ですが、災害が発生した時には、地域住民の生命と財産を守るために公務(公の任務)として対応します。
地域に密着し、地域住民とより近い立場にいる私たち消防団員が『共助』の一助となる様に自主防災組織や地域コミュニティと連携し、そして住民1人1人が『自助』のできる、災害に強い地域、街にしていきたいと強く思いました。

女性分団長 杉本 明規子

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