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非常時参集訓練
枚方市消防団では、令和5年度の枚方市消防団事業計画に基づき、大規模地震に迅速かつ的確に対応するために令和5年度後期非常時参集訓練を実施しました。
訓練想定
この非常時参集訓練は、令和6年2月11日(日)の午前9時頃、生駒断層帯でマグネチュード7.3の地震が発生し、枚方市全域で最大震度6強を観測したという想定で実施しました。
この想定のもと、枚方市消防団に所属する団員は枚方市消防団活動マニュアルに基づき、非常の際における参集方や無線通信設備による情報伝達で、初動体制の確立、消防防火能力の向上強化を図ることを目的として、毎年2回実施されている訓練です。
連載:最前線で奮闘するヒーローたち 【副団長】
枚方市消防団広報部では、非常時参集訓練の訓練参加者にスポットを当て、その訓練参加者の担当部署における活動を『最前線で奮闘するヒーローたち』としてルポルタージュを行い、シリーズ連載しています。
第2回となる今回の訓練では『副団長』にスポットを当て、本部 副団長 小北隆さんの活動に密着取材をしました。
小北副団長は、通常の消防団業務でも枚方東消防署管轄の予防担当の任務にあたり、当訓練においても東部方面本部担当副団長として東部方面5分団(津田分団・殿二分団・樟葉分団・菅原分団・氷室分団)の指揮を執ります。
訓練開始時から第2非常警備体制が解除され、訓練が終了までの副団長業務をご覧ください。
地震発生前から
枚方東消防署到着まで
訓練は朝9時00分より危機管理部本部からの通告によって開始されます。
一般団員は当該の時間をもって行動に移りますが、分団長以上の幹部団員にあっては、訓練の主となるMCA無線の通話試験から開始となります。
9時00分になると危機管理部本部から訓練開始の通告とMCA無線のグループ通信モードでの開局指示を受けます。
訓練想定の通告が終わると消防団長を皮切りに通話試験が行われ、小北副団長は3人目に呼び出しを受け、無線の受信感度の明瞭度を確認してその旨を報告します。
通話試験が終わると、一般の団員と同じく地震発生の対処を行います。
すぐに活動着に着替えて、二次災害を防ぐため自宅内のガス栓の閉状態や電気配線ブレーカーの「切」を確認(訓練のため通常状態で確認を行う動作のみです)し、常備してある緊急時対応用のリュックサックを担いで、約1キロほど離れた枚方寝屋川消防組合 枚方東消防署へ向けて自転車で目指します。
非常時参集訓練の参集方は、徒歩または自転車が原則となっており、参集途上でも近隣の被害状況の把握に努める事や人命救助が必要な場合に遭遇した際は、全力をあげてその救助に努める事を想定しています。
東部方面本部の開設準備
枚方東消防署に到着した小北副団長は、先に到着していた同じく東部方面本部担当副団長の柿木副団長と合流します。
合流後すぐに非常警備本部へMCA無線で到着報告を行うと共に東部方面本部開設と担当分団の情報を集約することを宣言します。
まずは柿木分団長とお互いがもつ情報の共有を図り、東部方面本部開設に向けた準備にはいります。
続けて続々と参集する東部方面本部従事要員である女性分団の団員に、備品や資機材の設置を指示します。
東部方面本部の機能が確立した時点で、担当する5分団(津田分団・殿二分団・樟葉分団・菅原分団・氷室分団)の各分団指揮所へ管轄する班の情報を収集して集約を行い、迅速に報告する事を指示します。
管轄分団からの被災状況報告と集約
まずは各分団における出動可否の人員や連絡が取れた人員の報告、消防車両の出動可否状況の報告を受けます。
その後、時間が経つにつれて被害状況が明るみになり、各分団指揮所から続々と報告が寄せられます。
報告処理を行う女性分団の団員は、手際よく地域ごとや事象ごとに各担当者へ振り分けて情報の処理を行います。
被害状況の報告を基に緊急性等を加味して出動等の検討にはいります。
被害状況が張り出されたホワイトボードには、出動可能な消防車等の情報も記され、被災地域で効率良く運用できるかを検討します。
絶え間なく入る報告で、重複案件があればひとつの事案として集約を行い、女性分団の団員へ状況変更の指示を出します。
●氷室分団指揮所とMCA無線で情報伝達を行う小北副団長(音が出ます)
被害地域の確認と対応指示
団員の出動決定を行うとすぐさま、その出動地域を管轄する分団指揮所へMCA無線で出動指示を出します。
出動指示が出された分団指揮所は、迅速に対応すべく当該の班へMCA無線や特定小電力トランシーバー等を使用して消防車を出動させます。
分団指揮所から出動指示があった班は、無線により指示内容を復唱して万全の安全体制のもと現場へ急行します。
指示を受けて現場に到着後、その周辺を調査し被害状況や対処方、活動状況等を消防車に車載されているMCA無線や特定小電力トランシーバー等を用いて分団指揮所へ報告します。
現場の団員からの状況報告を受けた分団指揮所の分団長は、その状況を東部方面本部へ報告します。
枚方市消防団非常警備本部への報告
分団指揮所からの報告を受けた小北副団長は、手元の記録用紙に事象内容を記し、女性分団の団員にその記録と集約を行う様に指示を出します。
全ての分団指揮所からの報告が処理され、女性分団の団員によって集約された書類が小北副団長の手元に運ばれ、小北副団長はその書類を基に非常警備本部へMCA無線により報告を行います。
10時55分に非常警備本部から第2非常警備体制の解除通告があり、この時刻をもって非常時参集訓練は終了となります。
訓練終了後は使用した備品や資機材を元にあった保管場所へ収納し、その後東部方面本部で従事した団員へ訓練の講評を行います。
すべての訓練予定と訓練講評が終わると小北副団長の「わかれ」の号令をもって東部方面本部は解散となり、東部方面本部における非常時参集訓練は終了となりました。
枚方市消防団では、令和6年1月1日に発生した能登半島地震を教訓に、地震等の大災害が発生した際においても消防団員から負傷者や殉職者を出す事がない様、安全管理を徹底し団員各々が危険に対する感受性の向上に努め、地域の防災リーダーとして責務を果たしてまいります。
本部 小北 隆 さん
小北隆(こぎた たかし)副団長は、枚方市消防団 菅原分団 藤阪班出身で団員歴37年目を迎え、菅原分団長等の要職を歴任しました。
現在は本部副団長として第5方面隊長の任務を預かるほか、枚方東消防署管轄の予防担当や広報部担当として数多くの消防団業務に携わっています。
副団長としては任期4期目にあたり7年の経年をもち、本年4月1日より総括副団長の任に就く予定です。
この間に消防庁長官表彰や藍綬褒章受章など栄えある章を受け、枚方市消防団の第一線で活躍しております。
平素は土木関係で官公庁の工事を監理するコンサルタントを生業とし、休日には現役野球プレイヤーとして汗を流しています。
地震など自然災害が頻発するこんにち、消防団組織が担う役割は非常に大きいものであると強く思うと共に今後起こり得る大災害とどの様な形で向き合って行くのかが日々の課題として考えております。
これからも枚方市民の皆さまが安心して暮らせる街である様、消防団業務に精進してまいります。
●令和5年度前期非常時参集訓練の記事は、こちらをご覧下さい。