
令和7年9月23日(火)枚方市女性分団定期訓練にて、枚方市環境部環境事業課 課長代理 山田さん、危機管理部対策推進課 課長代理 山本さんをお迎えし「能登半島地震における被災地支援活動」「災害ごみ取り扱い」についての講義を受けました。
今回の講義では、実際に能登半島地震の現場で活動した職員の経験から見えた具体的な行動や課題を学ぶことで、地域全体の防災力を高めることを目的としています。

被災地への派遣経緯と体制
枚方市は環境省の要請により、2024年3月1日〜31日までごみ収集を支援。
2tダンプ1台と職員11名が3名1チーム(リーダー1名、作業員2名)で派遣され、リーダーは約10日間、作業員は7〜9日間で交代するシフト制を採用。
事前準備では、車両の選定(故障リスクの少ない新車を使用)、資機材の準備(スタッドレスタイヤ、ブルーシート等)、現場でのパンク等に備えたトラックのタイヤ交換方法を再確認するなど、実践的な準備を徹底し被災地へ向かいました。
目次
現地での活動の課題

■移動の困難さ(道路状況・天候)
主要道路で土砂崩れや大規模な陥没が多発し、片側通行や未舗装の仮設路での迂回が常態化。雨の翌日には新たな通行止めが発生するなど、道路状況が日々変化し、移動に予測以上の時間を要した。
また、3月にもかかわらず想定外の積雪に見舞われ、峠道での運転は極めて危険であった。
■廃棄物処理インフラの機能不全
活動地の焼却施設が断水や破損により全面的に機能停止。収集した可燃ごみは、一度集積所で大型トラックに積み替え、約150km離れた金沢市まで長距離搬送(往復約300km)する必要があった。このため運搬は1日に1往復が限界であり、処理能力に大きな制約が生じた。

■避難所における廃棄物収集の実態
断水により食器が洗えないため、ペットボトルや弁当容器、支援物資の段ボールが大量に排出された。トイレの排泄物は感染症対策のため分別されていたが、保管方法は避難所ごとに異なり、統一されていなかった。
■ナビゲーションと情報共有の課題
珠洲市で提供された紙の地図は縮尺が大きく、土地勘のない派遣者には場所の特定が困難だった。一方、輪島市ではGoogleマップを基にした分かりやすい地図が提供され、自治体による対応の差が見られた。
業務効率化と継続性のための工夫
■効果的な情報共有(引継書)
初動派遣者として、後続部隊のために手書きの「引継書」を作成。作業情報(ごみの種類ごとの効率的な積込み方法)に加え、24時間営業のコインランドリー、コンビニの品揃え、利用可能な入浴施設など、具体的な生活情報を記載し、後続部隊の負担軽減と活動の継続性確保に貢献した。
■現場での積載方法の工夫
搬入先での荷下ろし作業の効率を考慮し、荷下ろしの順序を逆算して「段ボール → プラスチック容器包装 → ペットボトル」の順にパッカー車へ積み込む工夫を実践した。
災害廃棄物仮置き場の視察と枚方市への示唆

視察から見えた枚方市の今後の課題
2025年5月末に環境省主催で珠洲市・穴水町の仮置き場を視察。
広大な土地に大量の木くずが集積され、多数の重機が稼働する様子や、海上輸送によるリサイクル、民間事業者が運営を担っている実態が報告された。
災害時における廃棄物処理の難しさが改めて浮き彫りになり、特に都市部の枚方市では、被災地のような大規模な仮置き場を確保するのは難しく、民間事業者との連携や仮置き場候補地の検討が不可欠であることが示されました。
枚方市における災害時のごみの取り扱いについて
災害には大量の災害ごみが発生します。災害時のごみ処理を円滑に進めるには、市民一人ひとりの協力が欠かせません。
各家庭がルールを守って排出することにより、作業効率が上がり結果「復興へのスピード」が加速します。
災害発生後、道路被害状況を確認するため2~3日ごみの回収が止まります。
ごみは、情報が出るまで「自宅で保管」が基本です。
市民の皆さまにお願いしたいこと
ごみは必ず「指定の場所」へ
無断で公園や道路に置くと、処理が遅れたり環境を汚したりします。必ず市が指定した場所に出してください。
勝手な行動が収集作業の滞り、環境汚染の原因にもなります。
分別ルールを守りましょう
布団や畳、木材、プラスチック、金属など、種類ごとに置き場を分けることが復旧のスピードを左右します。
衛生面の配慮を忘れずに
排泄物は袋に入れて固め、時間・方法を守って排出してください。感染症防止のために欠かせません。
情報は「正しいルート」で確認を
災害時にはうわさや誤情報が広がりやすく、混乱の原因となります。市では次の順で情報を発信します。
- 市ホームページ
- LINE防災タブ
- SNS(Xなど)
- 防災無線や広報車による巡回
通信障害時は防災無線や掲示板を活用します。必ず公的な情報源を確認してください。
講義を終えて
今回の講義を通じて、災害時におけるごみの問題を改めて学びました。災害時に本当に力を発揮するのは、市民の皆さま一人ひとりの協力です。
ごみの出し方ひとつが復旧の早さを左右します。
また、情報をどこから得るかで命を守れるかどうかが決まることもあります。
普段から「分別」「備蓄」「正しい情報の確認」を意識し、いざというときに慌てず行動できるよう備えておきましょう。