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開会式

令和7年3月9日(日)、枚方市津田山手にある大阪府立北大阪高等職業専門校において、令和6年度 枚方市消防団山林火災防ぎょ訓練が枚方寝屋川消防組合枚方東消防署と大阪広域生コンクリート協同組合の合同により実施されました。
この山林火災防ぎょ訓練は、実践想定訓練を実施することにより、山林火災に迅速かつ的確に対応する能力を向上させ、枚方東消防署と連携して山林火災防ぎょ活動を実施するうえで不可欠な連携体制の確立及び消防団指揮体制の充実強化を図るためのものです。
そして「災害時における消防用水の確保に関する協定」が締結した大阪広域生コンクリート協同組合との更なる連携強化を目的として合同訓練を実施するものです。

訓練想定は、令和7年3月9日の午前9時ごろ、津田山(国見山)B9ポイント北側の山林より出火し東側へ燃焼が拡大しているというもので、出動指令を受けた東部方面に所属する津田分団・氷室分団・菅原分団・殿二分団・樟葉分団が消火活動を行うというものです。

開会式では、山林火災防ぎょ訓練担当の小北副団長より中団長に訓練開始報告がなされ、その後、枚方寝屋川消防組合枚方東消防署 山内署長より挨拶があり、続けて訓練に関する注意事項の説明がありました。

開会式終了後、各分団の小隊は指揮者の指示のもと配置に着きます。
消火活動

20トン(20,000リットル)水槽の設営



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山林火災で必要不可欠なことが水源の確保です。
山では十分な消火用水を確保する事が困難なため、今回は組み立て式の20トン水槽を設営し、消火用水を大阪広域生コンクリート協同組合に所属するミキサー車で運搬して水槽へ補充するという訓練が行われました。



機関・資機材等の運搬

火点から水源まで約600メートルの間を機関や消防ホースなどの資機材をヒューマンパワーで運搬します。


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水源近くはまだアスファルトで舗装されており、足場もよく動きやすい状況でしたが、火点に近ずくにつれ、アスファルト舗装はなくなり道幅は狭くなって勾配も大きくなってきます。


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重量のある機関を運ぶには多くの人員が必要になりますが、疲労も伴いますので、交代要員も随行し適宜その役目を変わります。
機関・ホースの設営


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機関や消防ホースの運搬が終われば、次に設営準備に取り掛かります。
親ポンプから先3基の機関が配備され、その間を数多くの消防ホースで結びます。

一般通行者の歩行の妨げとならない様に配置に配慮して施設します。
総延長600メートルの第一線

施設が終われば、20トン水槽より600メートル先にある火点へ向けて消火用水を送り出します。
氷室分団は20トン水槽横に消防車を配置し、積載の可搬ポンプを元ポンプとして揚水します。

2番ポンプは樟葉分団が担当します。
連成計を見ながら親ポンプから送られてくる消火用水の水圧と吐出する水圧を調整します。

3番ポンプは殿二分団が担当します。
機関の前後に高低差のある場所での運用になるので、高低差による圧力の損失などを考慮して操作を行いました。

4番ポンプは津田分団が担当します。
筒先に一番近い機関となり、ここから先消防ホースは2線に分岐します。
消防ホースの長さ的な圧力損失、勾配による圧力損失が最も大きくなりますが、機関員の操作技術をもって筒先に向けって適切な水圧を保持します。
山林に向けての放水

山林の奥深いところに火点に見立てた場所に目標が設置されました。

放水は2線により行われ、消火活動は津田分団が担当します。


足場が良くない条件においても、まずは安全を確保したのち、消火活動に取り掛かります。

高低差のある地形上の悪条件や落ち葉が堆積し滑りやすい状態においても的確に放水を行います。

別の進入経路により出火元に到着した枚方寝屋川消防組合の小隊も共に同じ目標物に向けて放水を行いました。
指揮所運営

今回の訓練では、初めて指揮所が2箇所設けられ、総本部の役割を果たす団指揮所と現場に近い場所で指揮を執る団前進指揮所が運営されました。

これは枚方市消防団の山林火災防ぎょ訓練としては初めての試みでもあり、現場の活動範囲が広範囲にわたる場合は非常に有効なものです。
無線設備の中継局の役割を果たすほか、指揮系統の強固なる運営を確立するものです。
団指揮所と団前進指揮所は、常に綿密な連絡をとり、活動する小隊へ的確な指示を出しました。
閉会式

全ての訓練が終了後、再び大阪府立北大阪高等職業専門校へ集結し、訓練の講評ならびに大阪広域生コンクリート協同組合様より御挨拶を頂戴致しました。



御挨拶と講評を全て受けたのち、令和6年度 山林火災防ぎょ訓練は無事に終了となりました。
なおこの訓練の様子は、当日報道機関によりニュースとして報道されました。
里山を守るために

令和7年の春先においても日本全国で広範囲にわたる大規模な山林火災が複数に発生しました。
山林火災は一度発生すると火の勢いを止める事は非常に困難であり、瞬く間に木々など自然を燃やし尽くし、時に人の生命や財産までも奪います。
そして一度焼き尽くされた野山が再生するには、非常に長い年月を必要とします。
豊かな自然を守るためにも火の取扱いには十分にご注意下さい。