
令和7年度 消防団視察研修レポート
目次
最新の防災施設と歴史から学ぶ、地域を守る力
枚方市消防団では、令和7年2月14日・15日の2日間にわたり、大阪府堺市・和歌山県広川町・和歌山市で視察研修を実施しました。
今回の研修では、最新の体験型防災施設や、津波の歴史と教訓を学べる施設を訪問し、地域防災の最前線と、災害から命を守るための本質を学びました。
消防団というと、火災現場での活動をイメージされる方が多いかもしれません。
しかし実際には、平時から地域の安全を守るために学び、備え、伝えることも大切な役割です。
今回は、そうした消防団活動の一面が伝わる研修となりました。
消防団は「現場」だけでなく「学び」と「備え」の活動でもある

消防団の活動は、消火や災害対応だけではありません。
地域で起こりうる災害に備え、正しい知識を身につけ、いざという時に動けるよう準備しておくことも重要です。
今回の視察研修を通して、改めて実感したのは次の3点です。
- 災害は、知識があるかどうかで行動が変わる
- 防災は、設備だけでなく人の意識で大きく変わる
- 地域を守るには、日頃から学び続ける姿勢が欠かせない
枚方市消防団でも、こうした学びを日々の活動に生かしています。
1日目 最新設備と防災の歴史を学ぶ
堺市総合防災センターで、実践的な防災体験を実施
1日目最初の研修先は、堺市消防局が直営する堺市総合防災センターでした。
令和4年4月に開館した新しい体験型施設で、「自分の命は自分で守る」「地域で助け合う」をコンセプトに運営されています。
団員は90分の基本コースを体験し、災害時の行動を実践的に学びました。


体験した主な内容
- 震度7を想定した地震体験
- 煙の中を避難する煙避難体験
- 実際の水を使った消火訓練
- AEDや心肺蘇生法を学ぶ応急手当
- 地図や事例を使った防災情報学習


元消防職員などの専門スタッフによる指導のもと、単なる見学ではなく、実際の災害を意識したリアルな学習ができる内容でした。
施設から学んだこと
この施設では、体験プログラムだけでなく、災害対応拠点としての機能も備えられていました。
- 約44万食の食料を備える備蓄倉庫
- 約14万枚の毛布などの災害備蓄
- 水難救助訓練に対応した専用プール
- 災害時の代替消防本部としての機能


こうした設備を目の当たりにし、防災は個人の備えだけでなく、地域全体の体制づくりが重要であることを改めて実感しました。

入団を考えている方へ伝えたいこと
消防団では、こうした防災知識や対応力を身につける機会があります。
特別な経験がなくても、学びながら地域に役立てるのが消防団活動の大きな魅力です。
稲むらの火の館で、命を守る判断と復興の知恵を学ぶ
続いて訪れたのは、和歌山県広川町にある稲むらの火の館です。
ここでは、安政南海地震の際に村人を救った濱口梧陵の功績と、その後の防災・復興の取り組みを学びました。
「稲むらの火」とは
1854年の安政南海地震の際、濱口梧陵は津波の危険をいち早く察知し、自らの稲束に火を放ちました。
村人たちは火事だと思って高台へ集まり、その結果、多くの命が救われました。

この話は単なる美談ではなく、異変に気づき、すぐ行動することの大切さを教えてくれる防災の原点です。
濱口梧陵が残した本当の価値
今回の研修で特に印象的だったのは、濱口梧陵の行動が「避難誘導」だけで終わっていなかったことです。
広村堤防の建設
梧陵は津波の再来に備え、私財を投じて巨大な堤防を築きました。
- 全長約600m
- 高さ約5m
- 根幅約20m
- 松林や樹木も組み合わせた多重防御構造
この堤防は、約90年後の昭和南海地震でも村を守ったとされています。

被災後の雇用創出と離村防止
梧陵は、堤防建設を単なる土木工事ではなく、被災者支援としても活用しました。
- 被災した村人に仕事を提供
- 日払いで賃金を支給
- 地域を離れず暮らしを立て直せる環境を整備
これは、現代でいう減災・復興・地域再生の考え方に通じるものです。

消防団活動との共通点
消防団もまた、災害発生後だけでなく、災害を減らすために平時から地域に関わる存在です。
「助ける」だけでなく、「被害を減らす」「備えを広げる」という視点の大切さを、この施設から学びました。
2日目 地域に根ざした防災学習を体験
和歌山市消防局防災学習センターで、デジタル技術を活用した防災を学ぶ
2日目は、和歌山市消防局3階にある和歌山市消防局防災学習センターを訪れました。
最新のデジタル技術を使って、地震・津波・風水害・通報・救命などを体験的に学べる施設です。
主な体験内容



- 災害シアター
- 初期消火体験
- 煙避難体験
- AED・胸骨圧迫の訓練
- 119番通報訓練
- VR防災体験
- 地震体験車(要確認)

大画面映像や音響、VRなどを活用した設備が整っており、災害時の判断や行動を“自分ごと”として考えやすい環境が整っていました。
特に印象に残った点
災害シアターは、和歌山市を舞台にしたオリジナル映像で構成されており、地域特有の災害リスクを学べる内容でした。
なかでも風水害編は、防災の大切なポイントを簡潔に、わかりやすく、過度に重くなりすぎない形で伝えており、非常に完成度の高い啓発コンテンツだと感じました。
一方で、団員同士では「映像表現と実際の災害イメージの違い」についても意見交換が行われました。
これは、防災啓発の難しさを改めて考える機会でもあり、正しい知識をどう伝えるかという観点でも有意義な研修となりました。
今回の研修で改めて感じた、消防団の役割
今回の視察研修を通して、私たちは次のことを再認識しました。
防災には「ソフト」と「ハード」の両方が必要
災害に備えるには、体験学習や啓発といったソフト面だけでなく、堤防や備蓄などのハード面も欠かせません。
どちらか一方ではなく、両方がそろってこそ地域は強くなります。
正しい知識が、命を守る行動につながる
いざという時、人は知らないことには対応できません。
地震、津波、火災、風水害、救命、通報。
どれも、事前に知っているかどうかで行動の質が変わります。
地域防災は、誰か一人では成り立たない
消防署だけでも、行政だけでも、地域防災は完結しません。
地域には、平時から動ける人、支え合える人、声をかけ合える人が必要です。
消防団は、その重要な一翼を担っています。
入団を考えている方へ
消防団は、地域を守りながら自分自身の力も高められる活動です
消防団に対して、「大変そう」「特別な人が入るもの」という印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし実際には、会社員、自営業、学生、地域で暮らすさまざまな方が活動しています。
消防団で得られるのは、地域貢献だけではありません。
消防団活動で身につくこと
- 災害時に役立つ防災知識
- AEDや応急手当などの救命技術
- 通報や避難誘導の判断力
- 地域とのつながり
- 仲間と連携して動く力
- 「いざという時に動ける自分」への自信
地域のためになるだけでなく、自分や家族を守る力にもつながる活動です。
まずは家庭でできる備えから始めましょう
今回の研修でも、日頃の備えの大切さが繰り返し強調されていました。
防災は、特別なことではなく、家庭でできることから始まります。
今すぐ見直したい備え
- 飲料水・食料を3日分、できれば1週間分備蓄する
- 家具の転倒防止を行う
- 非常持ち出し袋を準備する
- 家族で避難場所と連絡方法を確認する
- ハザードマップを見て避難経路を把握する
こうした備えは、地域防災の第一歩です。
研修スケジュール概要
1日目 2月14日(土)
- 第1研修(10:00〜12:00)
堺市総合防災センター(施設見学・体験)
大阪府堺市美原区阿弥129-4 - 第2研修(15:00〜16:30)
稲むらの火の館
和歌山県有田郡広川町広671
2日目 2月15日(日)
- 第3研修(10:00〜12:00)
和歌山市消防局防災学習センター
和歌山市八番丁12番地 和歌山市消防局3階
枚方市消防団では、地域を守る仲間を募集しています
枚方市消防団では、地域の安全・安心のために活動する仲間を募集しています。
「自分にもできるだろうか」
「まずは話だけ聞いてみたい」
そのような方も歓迎です。
消防団活動は、特別な経験がなくても始められます。
大切なのは、地域のために何かしたいという気持ちです。
ご興味のある方は、枚方市消防団事務局までお気軽にお問い合わせください。