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HUG(避難所運営ゲーム)とは?
避難所運営ゲームHUG(ハグ)。
HUG(ハグ)とは、Hinanzyo(避難所) Unei(運営) Game(ゲーム)の頭文字をとったもので、英語で「抱きしめる」という意味も含まれています。
避難者を優しく受け入れる避難所のイメージと重ね合わせて名付けられたものです。
避難者の情報(自宅の被害状況・年齢・性別・国籍・家族構成・それぞれが抱える事情など)が書かれたカードを、避難所となる学校の体育館や教室に見立てた平面図に、どれだけ適切に配置できるか。
また、避難所でおこる様々な出来事にどう対応していくかを疑似体験するゲームです。
プレイヤーは、このゲームを通して避難者の属性を考慮しながら部屋割りを考え、仮設トイレや、炊き出しの場所、仮設シャワーなど生活空間の確保や、視察や取材の対応、ペット連れの対応など、自由に意見を交わし話し合いながらゲーム感覚で避難所の運営を学ぶ事ができます。
その上で避難所で起きえる状況の理解と適切な対応が学べ、避難生活や平常時の備えについて考えるきっかけをつくる事が体験できます。
ゲームでは避難所の通路や地区割りをどうするかを相談し、避難者カードを配置していきます。
カードの読み手が、色々な事情を抱えた避難者のプロフィール読み上げていき、次々と押し寄せる避難者を体育館や各部屋に割り振っていきます。
また、避難者カードの他に物資の提供、喫煙所やトイレの問題等、避難者からの質問や出来事にも対応しながら進めていきます。
こうした中で、ルール化するものや共有すべき情報などは掲示板に書き込んでいき、情報整理の仕方の重要も学べる訓練です。
総合学習授業の一環です
枚方市立招提中学校一年生の総合学習にHUG(避難所運営ゲーム)を行いました。
各テーブル6~7人のグループに分かれ、各班で相談しながら避難所を運営していきます。
はじめにHUG(ハグ)とは?から説明が行われたのち、被害地区の状況や時刻、気温、お天気などの想定が紹介され、いよいよスタートです。
まず体育館に通路の確保をするように指示されると、通路設定にもグループの個性がでます。
「4地区あるから4等分や」「真ん中は通路は広げよう」「車椅子の人がいるかもしれないから、ここのゾーンは全部通路を広げておこう」
など大人顔負けの意見が飛び交いながら通路を設定。
いよいよ避難者の受け入れが始まりました。
読み手係の私たちが、休む間もなく次々と避難者カードを読み上げていきます。
続々と押し寄せる避難者に、体育館のどの位置に入ってもらうか?教室の方がいいのでは?話し合って図上に配置していきます。
「90代の老夫婦やから、トイレに困るし入り口の近くがいいよね?」「赤ちゃん連れがいるから、同じくらいの年齢の子どもがいる家族と一緒の部屋にしよう」
最初は戸惑っていた生徒たちも徐々に慣れ始め、お互いに意見の交換を行いながらカードを配置していきます。
いろいろなやり取りが…
読み手:「犬や猫、と一緒に避難してきました」
生徒:「外は雨が降ってるから運動場は可哀想。防音効果のある音楽室に避難させよう」高齢者独居の避難者には、「一人では寂しい、年齢が同じくらいの人の近くに」「近所の人と一緒やったら安心かな」
読み手:「生後2週間の赤ちゃん連れがきました」
生徒:「感染症が気になるから、教室に入ってもらおう」「お母さんも静かな方が安心やね」
読み手:「日本に旅行中の外国人観光客がきました」
生徒:「一時的な避難だから、3階の教室にっ入ってもらおう」「男女は分けよう」
難しい対応の中で意見を出し合い、また、子どもたちの目線での素直さや優しい面ものぞかせてくれました。
特に大人の意見では完全に切り離しがちなペットの問題。
「犬、ねこは、屋外へ」という意見が大半の中、子どもたちは家族同然ととらえ、同じ部屋でも『OK』という意見が多く見られました。
避難者の配置の際には「女性の横に男性は並べない」などの細かな配慮が光ります。
イベントカードでは…
読み手:「もうダメです!トイレを使わせて下さい!お願いです!」
生徒:「トイレは我慢できないな…運動場のトイレを使ってもらおう」
読み手:「明日、総理大臣が避難所を訪問します」
生徒:「え~来なくてもいいよー」「来てもらった方が被害状況が分かってもらえる」
など想定外の出来事にも順々に対応。
私たちも感心するばかりです。
若い世代から災害や防災について考えてみる
ゲームの最後には、各班が対応に困ったことを紹介し合い、意見交換し終了しました。
普段、自分たちが授業やクラブ活動で使用している体育館が、災害時は避難所になるという自覚と、避難所の運営の大変さや難しさもあるけれど、いざという時には、大人と一緒に避難所運営にも携わる事ができることは何か?避難所の様子をイメージできたこと。
また、様々な事情を抱えた避難者に対して、協力してできることは何か?を考えるきっかけになったと思います。
避難所運営に『これが正解』は難しい。
避難者が少しでも快適に安心して過ごせるように、避難所運営の課題などをリアルに考える事ができるHUG。
若い頃から防災を考える取り組みで、今後災害が起きてしまった際には、大きな力になってくれることでしょう。