令和7年1月12日、令和7年合同消防出初式に先立ち実施された枚方市消防団年頭式において、枚方市消防団長特別表彰の表彰式が行われました。
枚方市消防団長特別表彰
団長特別表彰は消防団の活動以外で人命救助、救急救護を行った消防団員の心意気とその功績を称え授与されるものです。
受彰者は殿一分団 平田浩嗣副分団長です。
平田さんは令和3年度にも「鉄道駅構内におけるホームからの転落者の救助と救護」により枚方市消防団長特別表彰を受けており、今回が2回目の受彰となります。
平田さんは、令和6年11月13日、帰宅時に乗り合わせていた京阪電車光善寺駅構内において「お客様対応を行っている」旨の車内アナウンスがあり車両外を確認すると、「AED!」との声があり、駆け付けたところ、70歳代と思われる男性が車両内に倒れていました。
駆け付けた時には救命措置は行われておらず、平田さんにて男性の意識の確認を行ったところ、意識がなく呼吸停止であったため直ちに胸骨圧迫を開始しましたが、状況の変化はありませんでした。
平田さんは日ごろから人工呼吸実施時に使用するフェイスシールドを携行していたことから人工呼吸と胸骨圧迫を交互に行うことを考え、人工呼吸2回と胸骨圧迫を交互に5回行っていたところ、かろうじて意識が戻ってきました。
回復と同時に協力者(女性乗客、光善寺駅員)が付近のコンビニエンスストアよりAEDを持って到着したため、AEDを開け電源スイッチを押すよう指示を行い、平田さんがパッドを取り出し男性の右肩付近と左わき腹へ貼り、AEDによる解析を行ったところ、電気ショック不要とのアナウンスがあったため、再度男性へ胸骨圧迫を1セット実施したところ呼びかけに対し目を開けるまでに快復しました。
間もなく救急通報を受けた救急隊が到着し引継を完了しました。引継時には容体も安定し、生命の危機を脱した状態でした。
当時を振り返って(平田さん)
たまたま乗り合わせた電車が止まり、様子を伺うと隣の車両にて倒れている人がいることを認識し、考えるよりも先に体が動いていました。
人が倒れていることに「怖い」と思いながらも近くのコンビニエンスストアへ勇気を振り絞ってAEDを取りにいった女性会社員をはじめ、私が救命措置を行うにあたり直接的には何もできないところ、私の通勤カバンを預かったり、カバンの中からフェイスシールドを取り出していただいた女性会社員、消防吏員の誘導に協力いただいた男性会社員など幸いにも数多くの方々の協力により救護対象者の救護活動が円滑に行えたと感謝しております。
私は現在、地域の防災訓練等において応急手当普及員として市民の皆さんを対象としたAEDを用いた心肺蘇生法の講習等に携わっていますが、引き続きこうした講習はもちろんのこと、市民の皆さんにいざというときに「何かできることはありませんか?」など、関心をもっていただけるように講習等を通じて関わることができたらと考えます。
枚方市消防団には多数の応急手当普及員の有資格者が在籍します。
今回団長特別表彰を受けた平田さんも応急手当普及員の有資格者です。
応急手当普及員とは?
応急手当普及員とは、心肺蘇生法等を推進するために必要な知識と指導技能を有する者として認定された方をいいます。
応急手当普及員に認定されると救急講習のインストラクターとして、普通救命講習と救命入門コースの指導を行うことができます。
認定されるためには、消防長が定める要綱に基づき、3日間基礎医学(人体の構造、感染防止)と応急手当(AEDの使用方法を含む)の実技や指導方法等を学びます。
資格更新のための再講習を原則3年ごとに受講していますので、心肺蘇生法の指針の改訂や感染症流行期の留意点など、最新の動向も把握しています。
負傷者や急病人の救助は初期治療がとても大切です。事故や急病の場合、救急車が駆けつけるまでに一般市民が協力して初期治療をする必要があります。
まず行動する勇気が必要です。恥ずかしがったり、見て見ぬ振りをしたりしていては、助かるはずの命が失われます。
けがをした人、顔色の悪い人を見たら、ぜひ勇気をもって声を掛けてください。