
枚方市消防団では、毎月各分団内で定期訓練を行なっています。
11月度定期訓練として女性分団では、枚方市危機管理部に依頼し DIG(Disaster Imagination Game:災害図上訓練)訓練を行いました。
多くの団員にとって初めてのDIG訓練でしたが、地域の「災害リスク」と「避難の課題」を具体的に把握でき、とても有意義な訓練となりました。
南海トラフ巨大地震はマグ二チュード8以上の地震の今後30年以内発生確率は、令和7年9月に60~90%程度に見直されました。
自分が住む地域の防災上の問題点の把握と被害イメージを明確にし、被害を最小にするための日頃の備えを検討することが目的です。

目次
DIG訓練とは
地図上に以下の情報を書き込み、地域の災害リスクを“見える化”する訓練です。
- 主な河川・水路・ため池など消火用水の位置の確認
- 主な道路、緊急車両が通行できる道、避難路の確認
- 一時避難ができる空き地や広場、地域の集合場所(自治会館・集会所など)
- 狭い道路、坂、段差、木造住宅密集地などのリスクを把握
- 危険を及ぼす恐れのある地形や施設:崩壊が予想される急斜面、石垣、危険物を扱う工場、ガスタンクなど
- 食料品など確保ができる場所:コンビニエンスストア・スーパー、ドラッグストアなど
参加者全員で地図を囲み、防災上重要な箇所の確認と「どこが危険」で「どこに逃げられるか?」発災直後にどう行動すべきか知恵を出し、話し合います。
この訓練で得た知識は、実際に地域を歩いて危険箇所を確認する「まち歩き」にも活かすことができます。

枚方市を襲う可能性のある主な地震
● 南海トラフ巨大地震
- 枚方市の想定震度は 震度6弱
- 全壊:約1,900棟、半壊:約12,800棟
- 避難者数:約34,100人
- 発生確率は「60%~90%程度以上」(2025.9.26発表)
- 現在、大阪府が新たな想定に基づく被害の再計算を進行中
● 生駒断層帯による直下型地震
- 枚方における想定震度 5強〜7
- 全壊:約20,800棟、半壊:約21,100棟と、南海トラフより被害が大きくなる可能性
- 最大避難者数:約46,800人
DIG訓練を通して分かること
避難経路の確保が難しいエリアが存在する
- 狭い道路や行き止まりが多い
- 坂道が多く、高齢者や障がいのある方の避難が困難
- 緊急車両が入れない住宅街がある
- 踏切、橋、河川などが避難経路を制限する可能性
→ 地震・浸水・火災など“どの災害時にどこへ逃げるのか”の想定が必要

古い住宅密集地では倒壊による道路閉塞が起こりやすい
- 木造住宅の密集エリアでは、建物倒壊や瓦の落下で道路が塞がれる恐れ
- 過去にも街路樹の倒木など、通行不能になる事例がある
→ 避難ルートの複数確保と、周辺環境の事前確認が重要
水害時の避難先・在宅避難の情報が十分に認知されていない?
- 浸水時、どこへ逃げるべきかが周知されていない
- 在宅避難の場合の情報・物資の入手方法が知られていない
- 河川近くの避難所の場合、洪水時は別の避難計画が必要
→ ハザードマップの確認や、家族での避難計画づくりが必須
消火用水(ため池・河川・水路)の位置によって対応が左右される
- 近くに消火用の水が少ない地域では火災対応が遅れる可能性
- 水が豊富でも地震時には安全性の確認が必要
→ 消火栓やため池の位置、利用可否を把握しておくことが大切

避難所に頼りきれない「在宅避難」が大きな課題
- 避難所に避難する人は全体の1割程度と想定されている
- 多くの人が在宅避難を選択するため、安否確認方法が重要
- 避難行動要支援者の所在を確認し、災害時に支援をどうするかを検討する
→ 近隣の助け合いや、平常時からの地域ネットワークが不可欠
DIG 訓練を終えて

今回のDIG訓練を通じて、特定の地域に限らず、多くの市街地で共通して見られる課題が明らかになりました。
災害時にスムーズに避難・救助を行うためには、平常時からこれらの点を確認し、対策を話し合うことが重要です。
- 複数の避難ルートを考えておく
- 在宅避難の準備をしておく
- 近隣とのつながりを持つ
- 家族の避難計画を共有する
災害時に何に?どう?備えるか!防災の基礎は地域で考えられる危険をまず知ることです。
「まさか!こんな事は!」ではなく、様々な災害被害の最悪の想定を考えておくこと、そして現状を正しく評価分析し、問題点・弱点を知る事が大切です。
自分たちの住む環境の正しい評価から始まります。
[災害を知り、地域を知り、人を知る」これらの積み重ねが、災害時の命を守る大切な行動へとつながります。
まずは、ご自身が住む街の特徴を知ることからはじめ、被害を最小限にするための行動を始めましょう。